トルコリラ注目される
16日の外為市場でトルコリラが対ドルで4カ月ぶり安値に下落し、1ドル=1.27リラをつけた。世界的な金融市場の混乱やトルコ経済への打撃をめぐる懸念が背景。15日の終値は1.2605リラだった。
米ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)は現地通貨建て新興国債券市場の投資対象として、ブラジルとトルコを有望視しているが、南アフリカについては弱気にみている。同社エマージング市場債券運用チームのシニア・ポートフォリオ・マネージャー、オウイ・S・ルイヴィヴァー氏が10日、ロイターとのインタビューで語った。
ブラジル債券に投資する投資信託は国内投資家の間でも人気化しているが、ルイヴィヴァー氏は為替リスクやインフレリスクを上回る高い利回りを期待できるため「ブラジルは我々が最も有望視している投資対象の一つ」と指摘した。トルコについては、不安定だった政治情勢が落ち着いたほか、金利水準が高いため「強気」な見方をしていると語った。
一方、国内投資家の関心が高い南アフリカについては、ここ数カ月で投資配分を6─7%から4%に引き下げたことを明らかにした。コモディティーの純輸出国である南アにとって最近のコモディティー価格の下落はマイナス材料で「現時点ではランドに対しては悲観的」と述べた。
また、経常赤字を抱える同国は債務を短期の資金フローで埋めており「仮にその資金フローが逃げ出したり、政府が為替の安定化に乗り出したら、外貨準備金を過度に取り崩すリスクがある」との見方を示した。
<世界的な景気減速懸念でデュレーションを長期化>
同氏はニューヨークを拠点に約10億ドル(約1072億円)の現地通貨建て新興国債券を運用している。運用する3本のファンドのうち、残高が約7億8500万ドル(8月末)で、日本の公募投信「GSエマージング通貨債券ファンド」<62006530JP>の投資先でもある「ゴールドマン・サックス・グローバル・エマージング・マーケッツ・デット・ローカル・ポートフォリオ」は7月末時点で26カ国の債券に投資しているが、ブラジル・レアルの投資配分は8.9%と最も高い。その次に高いのがトルコ・リラの8.4%。
同氏によると、新興国の実質利回りの要因を分解した場合、実質利回りからカントリー・リスクと米国実質金利を引いた「超過リスク・プレミアム」がブラジルとトルコは他国に比べ著しく高く、両国に積極的に投資する材料になっている。
ここ数カ月間で行った運用変更としては「年初に比べ為替リスクを減らし、デュレーションリスクを増やした」と指摘。「年初は新興国債券に投資する際の最大の懸念材料がインフレだったが、最近は世界の景気減速にシフトした」ため、ブラジル債を含む保有債券のデュレーションを平均1─1.5年長期化させたという。また、為替や金利動向などを考慮して中国、チリ、ガーナ、シンガポールを投資対象に加え、アルゼンチン、カザフスタンの投資配分を減らしたという。
<SWFや欧州年金基金も注目>
ルイヴィヴァー氏によると、新興国は外貨建て債券への依存度を下げ、現地通貨建て債券の発行を増やしているほか、1995年と2007年を比べると、中東欧を除く全ての地域で新興国の経常収支が改善しており、世界の投資家にとって投資対象としての魅力が高まっているという。
実際、新興国債券への投資に注目しているのは日本の個人投資家だけではない。同氏によると、今年に入ってからアジアと中東の政府系ファンド(ソブリン・ウエルス・ファンド)がドル建て新興国債券への投資を決めたほか、昨年から今年にかけて欧州の複数の年金基金が現地通貨建て新興国債券への投資に動いている。